すれ違いやすい時間割の中で
料理人の仕事は、世の中が休む日ほど忙しくなるため、家族と休みの時間がどうしても合いにくくなります。同じ屋根の下に暮らしていたとしても、顔を合わせる時間が短くなってしまうことも少なくありません。
それでも、時間が合わないからこそ、限られた時間をいっそう大切に扱うようになるという面もあります。当たり前のように一緒にいられないと分かっていると、日々の過ごし方の密度が自然と変わってきます。
平日の昼という空いた時間帯を使えるということは、この仕事ならではの数少ない大きな利点になっています。混み合わない時間にゆっくり出かけられると、短い時間であっても満たされた気持ちになれるものです。
朝の短い時間や、店へ向かうまでのわずかな支度の時間なども、使い方しだいで確かな意味を持ってきます。長さそのものではなく、短くてもそこで交わす言葉や表情の質のほうが効いてくるのだと感じられます。
短い時間を濃くしていく工夫
予定を早めに伝えておくという習慣は、すれ違いを減らしていくうえで大きな助けになってくれます。休みの日が決まったその時点ですぐ共有しておけば、家族の側も先の予定を立てやすくなっていきます。
季節ごとに忙しくなる時期があらかじめ分かっているのも、この仕事の大きな特徴だと言えそうです。毎年の忙しい時期を先に伝えておき、落ち着いたころにまとめて過ごすという形が取りやすくなります。
同じ食卓を囲む機会が少ない分だけ、自分が作ったものを家へ持ち帰るという形で伝えることもできます。普段は言葉にしにくい気持ちが、作ったものを通じて家族へ静かに届くという場面も確かにあります。
専門学校で学んだ資格に向けた知識や技術は、日々の家庭の食卓の場面でもそのまま生きてきてくれます。料理人としての腕が、結果として家族と過ごす時間そのものを豊かにしてくれるという面もあります。
まとめ
休みが合わないという条件は、一見すると不利に見えますが、時間の扱い方そのものを変えてくれるという面もあります。当たり前のように一緒にいられないと分かっているからこそ、限られた時間がいっそう濃いものになっていきます。
工夫として効いてくるのは、休みの予定を早めに共有することと、忙しい時期を先に伝えておくことだと言えます。互いに見通しが立ってさえいれば、日々のすれ違いは自然と減っていき、待つ時間も苦にならなくなっていきます。
長さを競うのではなく、その時間に何を交わせたのかを互いに大切にする構えが、この仕事にはよく合っています。短くても確かな時間を一つずつ重ねていくということが、家族との関係を長く支えてくれるのだと感じられます。