思いつきが訪れてくる場所
新しい一皿はどこから生まれてくるのかという問いは、この仕事を続けるかぎり付きまとってきます。何もないところから急に湧いてくるように見えますが、どうやら実際のところはそうではないようです。
多くの場合、手がかりはすでに手元にあり、仕入れた材料や季節の移り変わりの中に潜んでいます。いつもと違う形の材料が厨房へ届いた日に、これまでにない組み合わせがふと見えてくることがあります。
これまでに口にしてきた味の蓄えもまた、新しい形を考えようとするときの大切な材料になります。遠い記憶の中にあった味と目の前の素材とがふと結びつく瞬間が、出発点になることも少なくありません。
客から受け取った何気ない一言が、新しい形を考え始めるきっかけになることも決して珍しくありません。求められているものの輪郭が少しでも見えてくると、自分の進むべき方向がずいぶん定まりやすくなります。
形にしていくまでの道のり
思いついた形は、まず必ず小さく作ってみて、自分の手と舌で確かめていくところから始まります。頭の中だけで完成させようとしてしまうと、たいていの場合はかえって早い段階で行き詰まります。
試してみたものは、その日のうちに言葉にして残しておくと、次の一歩が組み立てやすくなります。狙いとどこがどうずれたのかを書いておけば、次に直していく方向が自然と見えてくることになります。
仲間に実際に食べてもらい、感じたことを率直に聞かせてもらうという場面も欠かすことができません。自分だけではどうしても気づけない偏りが、他人の言葉によってはっきりしてくることがよくあります。
専門学校で学んだ資格に向けた知識は、なぜその組み合わせが成り立つのかという理屈を支えてくれます。料理人として長く考え続けていくためには、こうした確かな土台があるほど気持ちが楽になります。
まとめ
新しい一皿がどこから来るのかというこの問いに、いまだに決まった答えを用意することはできそうにありません。それでも、材料と記憶と人の言葉という三つの場所のどこかに手がかりが潜んでいることだけは、確かに言えそうに思われます。
思いついたものを形にしていく道のりでは、小さく試して言葉に残すという繰り返しが大きな力になってくれます。頭の中だけで完成させようとせずに、実際に手を動かしながら考えていくほうが、結局のところ早く進んでいくことになります。
問いに答えが出ないからこそ、この仕事はいつまでも長く続けたとしても飽きることがないのだろうと思われます。次はどんな形が生まれてくるのだろうかという期待が、毎日の仕込みの時間を静かに支えてくれているようです。料理人の専門学校のことならこちら